体調の変化や出産・育児などで勤務先を辞める人が少なくありません。しかし、収入がなければそれまでの生活を続けられなくなります。そこで注目されているのが自宅にいながらにしてお金を稼げる内職・在宅ワーク・テレワークです。報酬が低いイメージのある人も多いでしょうが、中には会社員と変わらない程度の収入を得られるケースもあります。そこで、内職、在宅ワークのお仕事内容や報酬相場について紹介します。これからお仕事を探すにあたって参考にしてみてください。
内職と在宅ワークの違いは何?
内職と在宅ワークは、いずれも職場に通わずに自分の好きな時間に好きなだけ行え、収入を得られるお仕事である点で共通します。しかし、それぞれ適用される法律が違い、内職の場合「家内労働法」で工賃の最低額、安全、衛生面の最低基準が規定されていますが、在宅ワーカーにはそうした特別法がありません。何が内職に当たるかについては、家内労働法2条で定められています。それによると、内職であるためには物品の製造または加工などを業とすること、厚生労働省令で定めるものから委託を受けていること、同居の親族以外の者を業務について基本的に使用しないことが必要です。つまり、内職は物を製造・加工する者であるのに対し、在宅ワーカーの業務はサービスの提供などでもよく、在宅ワーカーのほうがより広い概念だといえます。内職はある程度労働条件が保証されている「労働者」に近く、在宅ワーカーは基本的に自由なスタイルで働ける「個人事業主」に近いといえるでしょう。内職ならば自治体の担当窓口であっせん業者を紹介してもらえますが、在宅ワークは自分で仕事を獲得しなければなりません。
内職にはどんな仕事があるのか
内職のお仕事内容は豊富で、自分の適性に合った業務を見つけることができるでしょう。今も昔も人気である内職の1つに「袋詰め」のお仕事があります。何をどのような袋に詰めるかによって単価は異なるものの、ポケットティッシュに広告を入れるお仕事なら1個あたり1円前後の報酬がもらえます。お菓子やキーホルダーなどであれば3円から5円が相場です。繊細な仕事や時間のかかる仕事になるほど単価は上昇する傾向にあります。作業効率を上げるためには細切れの時間を使って少量ずつ作業するよりも、ある程度長い時間を確保して一気に作業したほうが良いでしょう。また、検品のお仕事も一般的で、ゴム部品や雑貨などさまざまなものがあります。たとえば古着の検品なら1個あたり平均24円で、他の内職に比べると単価が良いのが特徴ですが、慣れないうちは不良品であるかの見極めに苦労する人もいます。ボールペンの組み立ては、バラバラの部品を組み立て、きちんと書けるかを確かめるお仕事です。作業工程は多いのですが、1個あたり0.75円で、報酬相場が安いのが難点です。うちわ作りは、うちわの表裏にシールを貼るだけなので初心者でも取り組みやすい一方、単価が1個あたり5円と高いのでおすすめです。競争率が高いので、もし求人を見つけたら応募を検討してみてください。ただし、事前に金品を要求するなど悪質な業者もあるので注意しましょう。趣味を活かせるものであれば楽しくできるかもしれません。たとえば、プラモデル制作代行なら、1個あたり数万円もらえるケースもあります。また、クロスワード専門誌に応募して、原稿料をもらうお仕事があります。1個あたり1000円から2000円ほどもらえるので報酬は良いのですが、継続してお仕事をもらうのは難しいかもしれません。他の内職をしながら頭の体操程度にクロスワードパズル作りをしてみる手があります。
どんな在宅ワークがあるのか
在宅ワークのお仕事も豊富で、テープ起こし、データ入力、モニター、文章作成などがあります。内職同様、誰もが行える仕事は報酬が安く、能力によって左右されるお仕事では報酬にバラつきがみられます。テープ起こしは、1分あたり80円で、1時間あたり4800円が相場です。これだけを聞くと高いと感じるかもしれませんが、1時間あたりにかかる時間は人それぞれで10時間かかる場合には時給480円になります。データ入力は1文字単位0.1円から1円が相場で、データ収集を伴う場合には報酬が増えます。しかし、テープ起こし、データ入力で高収入を得ることは難しいでしょう。モニターの場合、何を試すかによって報酬が異なります。たとえば、医薬品の開発段階で行われる治験のモニターであれば1日あたり3万円程度稼げます。文章作成は単価0.3円から4円まで報酬が人によって異なり、中には在宅ワークとはいえ会社員と変わらない程度の収入を得ている人もいます。これに対して、テレワークとは、IT機器を活用して勤務する形態で、いわゆる在宅ワーカーと異なり、会社員が自宅などで仕事をすることをいいます。報酬は業種、勤務先によって異なります。
本格的に稼ぎたいのなら在宅ワークがぴったり
法律的にみると内職のほうが労働条件を保証されているといえそうですが、実態をみると単価が安く、高収入を得ることは難しいでしょう。これに対し、在宅ワークは能力に応じて支払われる金額が異なり、スキルアップをすれば十分な収入を得られるはずです。内職だけ特別法があるのは、内職が古くからある勤務形態であるのに対し、在宅ワーカーはワーク・ライフ・バランスの概念などにより生まれた比較的新しい勤務形態だからでしょう。国が在宅ワークよりも内職を勧めているわけではありません。本格的に稼ぎたいなら在宅ワークがおすすめなので、スキルアップをしつつ、より良いお仕事を探してみてください。エージェントに登録したり、セミナーに参加したりする方法があります。在宅ワーカーは見積書、発注書の作成も自分で行わなければならず、内職と異なる苦労もありますが、勤務形態が自由であるため、より自分の生活スタイルを保ちやすいといえるでしょう。