結論:40代の貯金目標は1,400万円
金融広報中央委員会が発表した令和4年「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40代では21.5%の人が手取り金額の10~15%を貯金しています。
40代になると経験年数や役職があがり、年収が増える人も多いのではないでしょうか。増えた年収分を考え最終的には手取り金額の25%を目標にしていきましょう。
40代二人以上の世帯を例にしてお伝えすると、金融広報中央委員会が発表した令和4年「家計の金融行動に関する世論調査」による年間手取り金額が565万円なので、10年間手取り分の25%を貯金すると1,400万円を超えます。
老後資産は1人あたり3,000万円が目安
公益財団法人 生命保険文化センターが発表した調査によると老後の最低日常生活費は夫婦2人暮らしで月額平均23.2万円との結果が出ています。
再雇用など含めて65歳まで働くと仮定すると、厚生労働省が発表している令和3年「簡易生命表の概要」より男性81.47歳、女性87.57歳が平均寿命となっています。
老後が長い女性を例に考えると、22年間分の生活資金が必要となってきます。このことより、約3,000万円が必要となることがわかります。
上述では年金を除いていますので、実際には貰える年金を引いた額が必要となります。
年金は働いた年数や年収によって異なってきますので、ご自身の年金額やライフスタイルに合わせた生活費を考えて貯めていきたいですね。
資産運用も本格的に取り組み始める時期
40代は働き盛りの世代で、ご両親の介護、子育てなどライフイベントが多くあり、ご自身の老後のことも考え始めますね。
さまざまなイベントで支出も多いですが、今ある資産を増やしていくことも重要視していきたいですね。「今から始めて間に合う?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、40代は定年まで考えるとあと20年働く期間があり、その中で一時的に運用がうまくいかなくなっても、立て直す期間が充分あるので、始めることを考えていきましょう。
40代の平均貯金額はいくら?独身と夫婦で違いはある?
単身世帯の平均貯金額:657万円
20代の単身世帯の平均貯金額が176万円、30代の単身世帯の平均貯金額が494万円というデータと比較すると、160万円以上あがっていることがわかります。
40代となると仕事の経験年数や会社での立場や役職があがり、それに伴い収入があがり貯金にまわす余裕もあるのが伺えます。
夫婦世帯の平均貯金額:825万円
20代の二人以上世帯の平均貯金額が214万円、30代の二人以上世帯の平均貯金額が526万円というデータと比較すると、300万円近くあがっていることがわかります。
厚生労働省が発表している「令和3年の働く女性の状況」より女性の年齢階級別労働率を見てみると、30~34歳79.4%、35~39歳77.7%、40~44歳80.1%、45~49歳81.2%というように、30代と比較すると働いている女性の割合が多いことがわかります。
仕事を始めたり、パートから正社員への転換や時短勤務からフルタイムへの転換など勤務形態や時間の変化があることも伺えます。
40代で貯金なしの世帯は約3割
一方で貯金なしの世帯もあります。40代二人以上世帯でのデータによると26.1%、単身世帯35.8%では貯金がないことが分かっています。
単身世帯では子どもの教育資金を準備する必要がないため、二人以上の世帯と比較すると貯金なしの世帯が多いことも考えられます。
40代で貯金1,000万の世帯は約1割
40代二人以上世帯でのデータによると11.2%、単身世帯10.8%というように、世帯構成が異なっても約1割の世帯が1,000万円の貯金があります。10世帯のうち1世帯と考えると意外と多いのではないでしょうか。
40代で貯金2,000万の世帯は約1割
2,000万円以上の貯金額がある世帯は、40代二人以上世帯でのデータによると11.1%、単身世帯9.9%との結果が出ていますが、まとまった退職金がある60,70代の二人以上世帯のデータを見ても、約30%未満とのことがわかりますので、なかなか簡単に貯められる額ではないですね。
2,000万円貯めることはとても大変なことがわかります。
40代で必要になる資金|ライフイベント別
結婚で発生する費用:304万円
株式会社リクルートが発表している「結婚トレンド調査2022」によると、2022年の調査対象期間に行われた挙式、披露宴・ウエディングパーティー総額の平均は303.8万円でした。
40代になると、結婚式を挙げないカップルや身内など少人数を招待して挙げるカップルが増えることもあり、平均の費用より低くなる可能性があります。
出産で発生する費用:46万円
厚生労働省が公表している「出産育児一時金について」によると、2021年度における出産費用の平均額は46万2902円でした。
また、厚生労働省が公表している「妊産婦の診療の現状と課題」によると、出産年齢が高くなっている現状があり、全出産の約3割が35歳以上との試算にあります。
出産の年齢が上がると、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などのリスクが上がり、母体や赤ちゃんに負担がかかる可能性が増えます。そのため帝王切開での出産になるなど、費用が増えるケースが多くなります。
出産すると、原則として健康保険から42万円の出産一時金を受給できますが、地域や病院によってはそれだけでは賄いきれない可能性が大いにあります。
この出産一時金は2023年4月から50万円にあがることが決まっています。少しでも出産費用に充てられるのでとてもありがたいですね。
住宅の購入で発生する費用:5,112万円
結婚し、子どもが生まれて家族が増えると、今まで住んでいた家が手狭に感じマイホームの購入を検討する方も多いのではないでしょうか。
国土交通省が発表している「令和3年度住宅市場動向調査報告書」によると価格は、新築注文住宅だと5,112万円、分譲戸建て住宅4,250万円、分譲マンション4,929万円が平均となっています。
一般的にはローンを組んで返済するパターンが多いですが、返済時の年齢など考え、世帯年収から返済額を算出し、家計に負担をかけずに返済できるか考えてみましょう。
子供の教育で発生する費用:2,200万円
幼稚園から大学まですべて私立と考えた場合、2,200万円を超える試算がでています。
文部科学省が発表している「令和3年度子供の学習費調査」によると公立、私立によって大きな差があり、私立では授業料はじめ設備費など含め全体的に高額です。
幼稚園から私立に通うか、途中から私立に通うかでも金額に大きな差がでてきます。
小中学校の給食費無償化をおこなっている地域もありますので、地域によって差があることも視野に入れたいですね。
幼稚園:31万円
年間でかかる費用は公立園で16万5126円、私立園で30万8909円となっており、内訳としては入園準備品や習い事があります。3歳児以上の保育料は無料になるので、余裕のできたお金は貯金にまわすなど、今後の教育費のために少しでも貯めたいですね。
小学校:160万円
年間でかかる費用は公立校35万2566円、私立校166万6949円となっており、内訳としては授業料や学用品、塾などが多いです。
中学校:100万円
年間でかかる費用は公立校53万8799円、私立校143万6353円となっており、内訳としては小学校と同じように授業料や学用品、高校受験勉強のための塾などが多いです。
高校受験となると、塾にあてる時間も増えますので、それに伴って費用も増えるようです。
高校生:100万円
年間でかかる費用は公立校51万2971円、私立校105万4444円となっており、内訳としては小学校や中学校と同じように授業料や学用品、大学受験勉強のための塾が多いです。
大学生:500万円
4年間でかかる費用は公立大で平均262万6400円、私立大で平均526万7200円となっており、文系理系や医学など学ぶジャンルによっても大きく異なります。
なるべくお子さんの希望する進学をさせてあげたいですね。
40代で貯金を効率的に進めるための5つの方法
毎月の収支を把握する
毎月生活にかかる費用を把握し、自分の収入と照らし合わせてみてください。貯金をするには支出より収入を上回るように調整したいですね。
無駄な出費を削減する
衝動買いをしないようにしたり、毎月のクレジットカードの支払いの見直しをしてみましょう。
特に月額定額制サービスなどは便利なものが多く、契約も簡単にできてしまうのでつい使用してしまいますが、あまり使っていないものはありませんか?携帯電話の支払いやクレジットカードの支払いに含まれている事が多いと思うので一度見直してみましょう。
口座を使い分ける
口座は複数持っておくと便利です。貯金用、生活費、毎月かかる固定費の引き落とし用など複数に分けるとそれぞれお金の流れがわかりやすくおすすめです。
先取り貯金をする
毎月余ったお金を貯金するのではなく、毎月の食費、水光熱費などの固定費と同じように考えて貯金をします。毎月同じ額を貯められるいい方法になります。
資産運用を始める
つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)、定期預金、投資信託といった資産運用で今ある資産を増やすことにも目を向けていきましょう。
ローンの条件を見直す
住宅ローンについてお話しすると
・金利差が年1%以上
・住宅ローンの残高が1,000万円以上
・返済期間が残り10年以上
これら3つの条件を満たしていると、毎月の返済額や総返済額を減らせる可能性が高いので当てはまる方はぜひ見直しをしてみるのもいいですね。
副業で収入を増やす
本業が休みの週末など可能な範囲で副業するのもよいですね。
またご自宅に眠っている不要になった洋服や靴などはないでしょうか。これらを手軽にフリマアプリで売ることもおすすめです。
40代からでも遅くない!貯金1,400万円を達成するための資産運用方法
つみたてNISA
つみたてNISAとは、2018年から始まった積み立てや分散投資を支援する非課税制度のことです。
投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
1人1口座、毎年の非課税投資枠は40万円までを上限とし、最長20年間にわたって一定条件を満たした投資信託に積立投資することができます。
NISAには元本割れのリスクがありますので、始める際はリスクも理解した上でおこなうようにしましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。
今までiDeCoへの加入可能年齢は60歳未満でしたが、制度改正により65歳まで加入可能となりました。
元本割れのリスクがあること、60歳までは引き出すことができないためこれらを理解した上でおこなうようにしましょう。
定期預金
普通預金は預け入れ、引き出しのタイミングが自由ですが、定期預金は一定期間引き出せません。自由にお金を出し入れできるかどうかが大きな違いになります。
メリットとしては元本割れの心配がなく、マイナスになるなどのリスクが少ないことがあげられます。
昨今の金利を見てみると、受けられる恩恵は少ないように感じますが、「3年後に車を購入」するなどの明確な目的を果たすためにはおすすめの運用方法です。
投資信託
投資信託は個人投資家から集めたお金を運用会社がとりまとめて、国内外の株や債券、不動産などにわけて投資をしてくれます。
そこで得た収益を運用会社が投資してくれた個人投資家に分配金などで返還するという流れになっており、初心者で知識がなくても始められることが魅力です。
プロに運用を任せるということもあり、販売手数料、運用時に発生する手数料など固定費がかかってきます。
運用後のお金は予測が難しいですが、あらかじめわかる固定費に関してはきちんと把握したうえで運用会社や商品を選びましょう。
まとめ:まずは現状の収支状況をキチンと把握するところから!
日々の収支状況をきちんと把握した上で支出を削減したり、さまざまな運用方法を利用して資産を形成していけるといいですね。
目標達成のために頑張りましょう。