働く女性が妊娠した場合、母体と胎児の安全を守りつつ働くのは大変で、社会全体の課題でもあります。妊娠したからといってすぐには仕事をやめるわけにもいかず、安定期に入るまでは体調も不安定になったり、仕事中や通勤中のトラブルで胎児が危険に晒される可能性もあるなど、心配な点が非常に多くなってきます。また安定期を過ぎたとしても、妊娠による心身の不調は個人差が大きく、仕事を続けていく上で大きな不安になってしまうことも。
そこで今回は、妊娠中に仕事を続けることの注意点や、働き方についてご紹介します。
妊娠が発覚した場合に職場への報告は必要?
いつまでに報告をすべきか
とくに妊娠初期の場合、つわりなど体調面が不安定になり、仕事に影響が出ることもあります。もちろん安定期をすぎたとしても、急に具合が悪くなったときにはすぐに産婦人科にいけるよう、職場からのバックアップが必要です。
上司としても、妊娠時には業務量やシフトなどを調整する必要がありますから、なるべく早めに直属の上司に報告しましょう。妊娠報告の目安としては、安定期に入る妊娠3ヶ月頃までに報告するのがいいとされています。その際、あわせて産休・育休の制度があるかどうかも確認しましょうね。
誰に報告すべきか
基本的に、まずは直属の上司へ報告しましょう。会社への報告なども上司が行ってくれることもありますし、今後のことについて指示をもらえることがほとんどです。また職場で産休や育児休暇を取得した経験がある人がいれば、個別で相談するのも不安が減っていいでしょう。
何を報告すべきか
上司に最優先で伝えるべきは出産予定日です。日程を伝えれば、会社側でも対応を決めやすいと思います。また妊娠報告とあわせ、出産後も継続して働くか、産休にはいつから入るか、育児休暇の有無などもあわせてしっかりと話し合っておきましょう。それにより大体いつまで働けるかなど目安を考えることができるため、会社としても自分にとっても働く目安になります。
・産休について
産休とは「産前産後休業」のことで、労働基準法によって定められた出産の前後に取得できる休業期間のことです。育児休暇と混同されがちですが、育児休暇は男性も取得できるのに対して、こちらは出産にかかわる休暇のため、女性のみ取得ができます。
産休は、出産予定の6週間前から利用することができる「産前休業」と、出産後8週間に取得できる「産後休業」があります。これらの休業期間には例外もあり、双子などの多胎妊娠の場合は母体への負担が大きいため、14週間前から産前休業を取得することができるので覚えておきましょう。
一方、産後休業は法律により出産後8週間の間、事業主は女性を働かせることができないと定められているため、基本的に産後休業は一律で8週間になります。とはいえ母親のほうから、産後6週間経過の時点で医師に就労の希望を出し、医師が問題ないと判断した場合は、仕事への復帰が認められています。
また産休の取得には、雇用形態による違いはありません。派遣労働者やパート、アルバイトでも産休を取得できますので、必要に応じて取得し母体の安全保持につとめていきましょう。
・産休について
産休とは「産前産後休業」のことで、労働基準法によって定められた出産の前後に取得できる休業期間のことです。育児休暇と混同されがちですが、育児休暇は男性も取得できるのに対して、こちらは出産にかかわる休暇のため、女性のみ取得ができます。
産休は、出産予定の6週間前から利用することができる「産前休業」と、出産後8週間に取得できる「産後休業」があります。これらの休業期間には例外もあり、双子などの多胎妊娠の場合は母体への負担が大きいため、14週間前から産前休業を取得することができるので覚えておきましょう。
一方、産後休業は法律により出産後8週間の間、事業主は女性を働かせることができないと定められているため、基本的に産後休業は一律で8週間になります。とはいえ母親のほうから、産後6週間経過の時点で医師に就労の希望を出し、医師が問題ないと判断した場合は、仕事への復帰が認められています。
また産休の取得には、雇用形態による違いはありません。派遣労働者やパート、アルバイトでも産休を取得できますので、必要に応じて取得し母体の安全保持につとめていきましょう。
・育休について
産休は女性のみ取得できるのに対し「育児休業法」で定められた育児休暇は、一歳未満の子供を養育する男女の労働者が対象となっています。生まれた子供が1歳に達するまで休業することができる制度であり、以下の条件を満たしていれば申請することができます。
<正社員>
● 同一事業主で1年以上働いている
● 1週間に3日以上勤務している
<期間雇用>
● 同一事業主で1年以上働いている(日々雇用される者を除く)
● 1週間に3日以上勤務している
● 子供が1歳6ヶ月になるまでに契約期間が満了することが明らかでない
● 契約が更新される場合は、更新後の契約期間が子供が1歳6ヶ月になるまでに満了することが明らかでない
育児休業の期間は、子供が1歳になる前日まで本人が希望する期間取得することができます。母親なら出産休業日の翌日から、父親は子供が生まれた日から取得できます。また育児休業中は、健康保険や厚生年金保険は被保険者状態が続きますが,社会保険料は免除されるので覚えておきましょう。
妊娠中の仕事で気をつけたいこと
力仕事を避ける
あまり神経質になりすぎるのもよくないですが、あまりにも重いものを持ったり、連続で重いものを運ぶことは避けたほうがよいです。労働基準法でも、妊娠中の女性には重いものを扱う業務をさせてはならないと定められていますので、可能であれば業務の見直しを相談してみてはいかがでしょうか。
通勤ラッシュを避ける
電車などで通勤している人が妊娠した際、心配なのが通勤ラッシュなどの満員電車ではないでしょうか。人がひしめき合う満員電車は、母体と胎児の健康にもよくありませんし、妊娠した状態では優先席に行くのも一苦労という人もいます。男女雇用機会均等法第23条により、労働時間の変更は可能と法律で定められていますから、職場に相談の上で出退勤の時間をずらしたり、時短勤務にしたりなどの対策を考えましょう。
自転車での通勤も避ける
妊娠するとホルモンバランスが変化し、注意力が散漫になるという人もいます。自転車に乗っていても、いつもなら気付ける音や人の気配、車の気配に気付けず、反応が遅れてしまったりして事故に繋がる危険があります。
また妊娠後期になると、おなかが大きくなり、ペダルを踏むこともきつくなってきます。体にかかる負担を考慮すると、妊娠がわかったら自転車での移動は極力避けましょう。
つわりがひどい時は休憩する、欠勤する
妊娠時に感じる体調の変化は人それぞれで、なかには仕事が原因でつわりが悪化してしまったという人もいます。立ち仕事や体力仕事、ずっと座りっぱなしの事務仕事など、何がきっかけになって体調が悪化するかなどは、事前に予測できるものではありません。
つわりによる体調の変化を感じたら、すぐに職場に相談しましょう。男女雇用機会均等法では、つわり休暇というものがあり、つわりが原因による早退や欠勤が認められています。
小さな体調の変化も見過ごさない
妊娠中の体調管理は、特に細心の注意を払って行いたいものです。妊娠初期に多く見られるおなかの張りや腹痛などの体調不良を感じたら、無理せず早退したりお休みをいただくなどの対処を取りましょう。腹痛などのつわりからくる体調不良は、つい我慢できるからと仕事のために無理をしがちです。ですが妊娠中の体調不良はトラブルのサインという場合もあります。早めにかかりつけの医者に見てもらいましょう。
職場に言い出しにくいという人は、医師から渡される「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。これは働く妊産婦が医師から渡されるもので、通勤条件の緩和やつわり休暇取得の指導を伝えるためのカードです。事業主はこの母性健康管理指導事項連絡カードの指示に応じた処置をとらなければならないため、体調不良の説明時に心強い存在となるはずです。
同じ体勢を避ける
特に妊娠後期などはお腹が大きくなるため、長時間同じ体勢を取り続けると血行が悪くなり、母体に悪影響を及ぼします。腰痛や頭痛などの原因となるため、あらかじめ何分ごとに体勢を変えるか決めておき、長時間同じ姿勢をとり続けないようにしましょう。
周りへの感謝は忘れずに
妊娠中に自分の仕事量を減らしたという場合、同僚がそのカバーに回ってくれています。体調不良による早退やお休みは、母体保護のため必要なこととはいえ、同僚たちがフォローしてくれていることを理解しておきましょう。いつか回りの誰かが産休や体調不良のときには、今度は自分がフォローするという気持ちで、いま支えてくれる周りの人たちには感謝を忘れずに伝えましょう。
産休や退職の前にすべきこと
周りへの挨拶
長期間仕事を休んだり、場合によっては退職となるのですから、いままでお世話になった人には挨拶を忘れずにしておきましょう。
職場の同僚や上司をはじめ、関わりがあった人にはなるべく直接挨拶をしておきたいところです。もちろん会えない人にはメールでもOKですから、今までの感謝の気持ちを伝えておきましょう。最近では社内SNSを用いているところも多いので、そのような場合はSNSを利用すると便利です。取引先などがある人は、担当変更などの連絡もあるかと思うので、忘れずに伝えましょう。
引き継ぎを確実に
人が抜けるというのは、少なからず職場に影響が出るものですから、産休による影響を小さくするためにも、仕事の引き継ぎはしっかり済ませておきましょう。
口頭だけでなく、資料などを準備して引き継ぎするのが望ましいです。また妊娠中の体調次第では予定より早く産休に入るという可能性もあるため、すべてが想定どおりのスケジュールで進むとは限りません。資料の作成や、引き継ぎの段取りは早めに始めておきましょう。
まとめ
妊娠中にどうやって仕事をしていくか、適切な体調管理や業務量調整についてご紹介しました。
妊娠がわかったら、事前に上司に報告し出産予定日を伝えておくことで、その後の手続きがよりスムーズになります。自分の体調と相談しつつ、仕事の量や休暇の時期について決めていきましょう。
また出産後は、保育園のこともあるので、すぐに職場に復帰するというのはなかなか難しいことがあります。いち早く仕事をしたい場合は、自宅で空いた時間にできる「在宅ワーク」という選択肢もありますよ。
在宅ワークは、初心者でも安心して始められるほか、自宅にいながら働けるため主婦の方が未経験から始めるのにも適しています。